6th September 2024

詐欺グループ「合同会社Mighty Way」による、マッチングアプリを利用した集団犯罪の実態

<事案の概要>

①刑法による詐欺罪・強要罪、金融商品取引法違反、脱税が構成されることが強く疑われる行為

· 合同会社Mighty Way(法人番号0133-03-006501)と代表社員 大野友輝(埼玉県戸田市下前二丁目4-12)、ならびに松島大・中村成那(中央大学法学部2年)・清水アンリなど構成員約30名は、マッチングアプリを利用して選別した被害者に対し、FXの指南を行うとの名目で詐欺的な高額契約を結ばせる、またその際に被害者を逃げられないようにし、その場で消費者金融からの借金を強要させる、ことを組織的・反復的に行っている。

· この行為は少なくとも2022年12月頃より現在に至るまで行われており、2023年の本組織の収益=被害総額は約2億円であること、また、直近の被害者の数は月に30名前後であることが以下の幹部会議で周知されており、これまでに少なくとも300名以上の被害者が存在するものと推測される。


②組織犯罪処罰法が適用されると強く考えられる集団構成

· 組織は、選別された幹部によって秩序だって構成され、LINEによる日々の活動進捗の確認や指示、毎週月曜日に開催される対面の幹部会議での戦略策定など、継続的かつ集団的に、不法収益を目的とした活動を行っている。

· 当該組織から売上の大半を上納している、より上位の組織が存在する。この関係者に反社会的勢力であることが強く疑われる者(関野ヒロキ(自称))が確認されている。関野ヒロキは、さまざまな詐欺事案に10年以上携わっていること、銀行口座を作ることができないこと、前科をほのめかすことを語っている。

· 当該組織と同様の組織が横並びに、合同会社GLORIOUS SOLUTION(法人番号0111-03-011572)ほか複数存在することが確認されており、関野ヒロキは、これらに対しても支配的な立場にある。

· 合同会社GLORIOUS SOLUTIONは当該組織に近似した活動を行っていると考えられ、当該組織の構成員を勧誘する手法と近似したスキームが、国民生活センターから紛争として公表されている(

<①の行為の詳細>

1. マッチングアプリを使って、パパ活の名目で被害者を探す

· 構成員は男女のグループに分かれ、異性をターゲットにする

· ターゲットは構成員の年齢に近い20代が主で、接待業、大学生、美容師など

2. アポイントが取れた被害者に対して面会を行い、その後LINEや面会を重ねて説伏していく

· 金銭的な余裕または逼迫度、投資への興味などを聞き出しながら値踏みを行い、利殖の魅力や恋愛感情を利用して言葉巧みに誘導していく(内部では「洗脳する」と表現)

3. 被害者に「FXで儲けるために指南してくれる知り合いを紹介する」ことを提案し、これを承諾させる

· この時点で被害者には、取引が求められること、また何を契約させられるのか、その対価、など取引の内容は示されていない

4. 最終ステップとして、被害者との契約の締結と金銭の授受を行うための、対面のアポイントが取られる

· この対面には、当該法人代表である大野友輝を含む複数名が臨席する

5. この最終ステップの場で、①コンサルティング契約(※1)と機密保持契約を締結すること ②※1の対価が90万円であること ③この場で契約と支払いを行うこと が口頭で示され、契約が強要される

· 締結させる契約は書面(紙)であり、大野友輝と被害者のそれぞれが保管する

6. ほとんどの場合、被害者はこの時点で現金を用意できていない。そのため、その場で被害者にスマートフォンを操作することを強要し、銀行預金の状況を直接確認する。その残高が満たない場合は、同じくその場でスマートフォンの操作を強要し、消費者金融(アコムなど)の借入申込を行わせる

· 被害者が用意できる金額が都合90万円に満たない場合には、その限度に合わせて、50万円まで対価の減額が行われる

7. 臨席した構成員は、銀行や消費者金融からの引き出しにそのまま同行し、その場で直接、現金を授受させる

8. 被害者に対してその後は連絡を絶ち、本契約締結にあたり示唆された「FXの指南」は行われない

<②の詳細>

· 当該組織は、当該法人の代表社員である大野友輝以下、松島大・中村成那・清水アンリなど10名の幹部を含む、約30名で構成されている

· 大野友輝と10名の幹部は、週次(毎週月曜日)で対面の会議を行い、共同で組織の運営を行っている。この11名は犯罪収益による沖縄旅行を実施するなど、密接な関係を有している。

· 構成員は全体または個別のLINEグループによって、日々の活動の報告や指示の下達・受領を行っている

· 総収益に対し、代表社員である大野友輝はその10%、幹部のうち上位の者は各々その1%を得る。残りの収益の大半は、関野ヒロキを通じて、より上位の組織へ上納される

· 構成員はその立場に応じて、月額10万円ないし20万円の固定報酬を得る

· 被害者との契約の成立に伴い、最も契約に関与した構成員は追加報酬を得る。90万円の契約であれば20万円の報酬、以下契約額10万円減額ごとに報酬の1万円減額となり、50万円の契約であれば15万円の報酬となる

· 雇用契約書など、これらの報酬形態を記す、また構成員と当該法人との関係をあらわす書面は手交されていない

· 構成員への報酬は月極であり、大野友輝から現金の手渡しによって行われる

· 構成員の勧誘は、被害者へのアプローチと表裏一体で行われる。ターゲットの志向・性格によっては、契約の締結に向けたアプローチでなく、「もっと儲かる話がある」「グループに入れてあげる」と持ちかけ、構成員として参加するよう働きかける

· 構成員は当該組織に加入するにあたり、被害者が支払うものと同一のコンサルティング契約を、被害者と同じく90万円(50万円まで減額されることがあるのも同様)で行っている。そのため、構成員は自身が被害者に締結させるコンサルティング契約について、実態がなく金銭の詐取を目的にするものと認識しており、この点からも詐欺罪における欺罔が十分に構成されるものと考えられる

以上